制度の行間 #03

就労継続支援B型、基本報酬区分の見直しで何が変わる?

連載「制度の行間」第3回
この記事は、こども家庭庁・厚生労働省が公表した一次資料をもとに、就労継続支援B型の事業所の経営者・管理者・実務担当者向けに、令和8年6月施行の基本報酬区分の見直しを整理したものです。制度の一般的な解説であり、公式見解そのものや個別の算定アドバイスではありません。具体的な算定・届出は必ず後掲の一次資料と所管自治体の案内をご確認ください。

第1回の最後で、「処遇改善加算だけ見ていると全体像を見誤る」と書きました。今回の期中改定では、処遇改善加算と同時に、就労継続支援B型の基本報酬区分にも手が入っています。B型を運営しているなら、こちらのほうが収入に直接響くかもしれません。

なぜ今、B型の基本報酬が見直されたのか――発端は「ものさし」の変更

話は令和6年度(2024年度)の報酬改定にさかのぼります。

B型の基本報酬は、多くの事業所で「平均工賃月額」が高いほど高い区分になる仕組みです。その平均工賃月額の計算方法(ものさし)が、令和6年度に変更されました。

新しい計算式では、分母の取り方が変わった結果、全国の平均工賃月額が約6,000円ほど上がったとされています。実際の支払い額が増えたというより、「同じ実態でも、数字が上がって見える」ものさしに変わった、というイメージに近いものでした。

その結果どうなったか。想定以上に高い報酬区分に該当する事業所が増えてしまったのです。これは制度全体で見ると、見込んでいた以上に報酬が出ていく、ということでもあります。

令和8年6月、なにが変わるのか

そこで令和8年6月の期中改定で、B型の基本報酬区分が見直されました。各所の解説を整理すると、ポイントは次のとおりとされています(正確な金額・区分は必ず一次資料でご確認ください)。

ざっくり言えば、令和6年度に「上がって見えるようになった」分を、区分の基準を引き上げることで調整しつつ、急激な激変は中間区分でやわらげる――という構図です。

施行は令和8年6月。届出の期限も6月上旬に設定されています(自治体により異なるため要確認)。

新しく始める事業所には、別の調整も

もう一つ、これからB型を始める事業所には注意点があります。

令和8年6月1日以降に新しく指定を受ける事業所には、次の定期改定(令和9年度)までの間、所定単位数の「1000分の984」が原則として適用されるとされています。つまり、新規事業所は報酬がやや抑えられた形でのスタートになる、ということです。

これは前例の少ない調整で、これから開業を考えている方には、事業計画に直接影響します。開業のタイミングや収支の見立てを、この点も踏まえて確認しておく必要があります。

「処遇改善加算だけ見ていると、足をすくわれる」

ここで第1回の話につながります。

処遇改善加算は「賃上げの原資が増える」プラスの改正でした。一方、B型の基本報酬区分の見直しは、事業所によっては「区分が下がって基本報酬が減る」マイナスに働く可能性があります。

加算で増える分と、基本報酬で変わる分。両方を合わせて、自所の収入が結局どう動くのかを見ないと、判断を誤ります。 「処遇改善加算が手厚くなった」という話だけを見て安心していると、足元の基本報酬が変わっていた、ということになりかねません。

いま確認しておきたいこと

B型を運営しているなら、まず次の点を確認することをおすすめします。

  1. 自所の平均工賃月額が、新しい区分でどこに当たるか。区分が下がる見込みなら、基本報酬への影響額を試算しておく
  2. 届出の期限(自治体の案内を確認)
  3. 処遇改善加算の改正分と合わせた、収入全体の見通し

数字の確認は手間ですが、ここを押さえておくと、年度の途中で「思っていたより入ってこない」という事態を避けられます。

一次情報・出典

正確な区分・金額・単位数・届出期限は、必ず以下の一次資料と所管自治体の案内をご確認ください。本記事中の具体的な数値は解説のための目安であり、最終的な判断は一次資料に基づいて行ってください。

【筆者について】「福祉参謀室」室長のりくです。ふだんは障害福祉サービス事業所の会計・経理・財務まわりの仕事をしている実務者です。税理士等の資格者ではないため、個別の税務・請求のご相談には応じられません。

この記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・労務・報酬請求に関する助言ではありません。具体的な判断は一次情報および所管自治体・専門家にご確認ください。

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